ヴァンパイア連邦共和国

標茶町(しべちゃちょう)ヴァンパイア協会です。

ロートの配信(16)特別編(終盤)

★前回までのあらすじ★

 

異世界から来たヴァンパイアの『ロート・ハール』は、『ミサトさん』という人間の家に居住中。

 

・使い魔の猫がやってきて噛みつかれたロートは気絶し、気づいたら犯罪組織の創始者を目の前にして、牢屋でミサトさんと共にロープで縛られていた。

 

 

そんなイカロス・イカロを目の前に、ロートとミサトさんは牢屋のなかでロープで縛られています。

 

イカロス・イカロは牢屋の外で、優雅にタバコを吸っています。

 

 

「さて、作戦を開始しよう。クロノン、こっちへ来い!」

 

バカロスがそう言うと、少し白が入った黒猫が1匹、バカロスに駆け寄りました。

 

クロノンという、先ほどロートの首筋を噛んだ猫です。

 

「ご主人様!ご命令、お待ちしております」

 

そう言って、主人であるバカロスの足に身体を擦り寄せます。

 

ふとミサトさんを見ると、

猫が喋ったことに仰天し、開いた口が塞がらないような表情をしていました。

 

ミサトさん、とりあえず静かにね。ビックリするような魔法を見ても、叫んだら余計に危険になるから」

 

ロートは小声でそう伝えると、

敵に気づかれないよう無言・無表情で静止したまま、

ドラネさんに魔法でテレパシーを送る試みを始めました。

 

「クロノン。ロート王女の魔法を無効化しろ!」

 

「かしこまりました!」

 

猫のクロノンはその身体能力を生かし鉄格子の隙間から牢屋に入り、

ロートの顔を引っ掻きながら『すべての魔法を無効化する!』と叫びました。

 

『ロート・ハールさん。すべての魔法が無効化され、使用不可となりました』

 

魔法の行使完了を知らせるアナウンスが、どこからともなく聞こえてきました。

 

 

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