ロートの配信(14)特別編(前半)
こんばんは。
ヴァンパイア 系Vライバーの『ロート・ハール』です。
語り手がミサトさんからロートに戻ります。
☆
…というのも、
今までロートとミサトさんが一緒に暮らすようになるまでの過程のお話をしていたのですが、
それとは別に、重大な事件が起きてしまったからです!
なので、出会う前後の出来事のお話はいったん中断して、
家に化け猫が攻め込んできて憑依(ひょうい)されてしまった件について、
お話しようと思います。
☆
あれは、今年、2022年3月30日のことでした。和暦だと令和4年になります。
3月30日の深夜2時ごろ。
ヴァンパイア本来、夜行性なので…
この時間に眠っているのはヴァンパイア としては昼夜逆転なのですが、
ロートは人間のミサトさんに合わせて、
ぐっすり眠っていました。
深夜に突如、猫の鳴き声が大音量で聴こえてきましたが、
どうせ夢に決まってると思い、無視し続けてまた眠りました。
しかし、あまりにも長い時間、しかも大音量で聴こえてくるので、
ひょっとしたら夢ではないかもしれない、と思いロートは目を覚ましました。
布団から起き上がり完全に覚醒しましたが、やはりまだ猫の鳴き声は聞こえてきます。
(この鳴き声、夢じゃないんだ…)
猫の鳴き声は、なんだか怒っているような、何か不満を訴えているような鳴き声でした。
(今住んでいるアパートはペット禁止だし、今どき野良猫も珍しい。一体、どういうことだろう?)
ロートは玄関のドアの鍵穴から、そっと外の様子を確認しました。
すると1匹の黒っぽい猫が、必死に何かを訴えていました。
猫の鳴き声なので意味はわかりませんが、何かを人間の言語で伝えようとしている……そんな感じでした。
(可愛い💕めっちゃ可愛い💕…って癒されてる場合か!?迷子の飼い猫なら、飼い主は探しているはずだから…)
「ロート、どうしたの?鍵穴なんか覗いて?」
ちょうどそのとき、ミサトさんも起きてきました。
「今、大音量で猫の鳴き声が聞こえてるでしょ?それで鍵穴を覗いたら、猫がいて…」
「猫の鳴き声なんて聞こえないよ。ロート、幻聴じゃない?」
そう言いながら、ミサトさんは玄関のドアを開けました。
「ほら、猫なんていないでしょ?……って、いた!?」
猫はドアが開いた瞬間、ロートに飛びかかってきました。
ロートは咄嗟に魔法のバリアでガードし、そのまま球体状の結界で猫を包み込みました。
結界に包まれた猫は、球体のなかで空中浮遊をしながらジタバタと暴れ回っています。
不自然な空中浮遊を続ける猫を、魔法を見慣れていないミサトさんは、驚愕の表情で見つめています。
「使い魔ね」
ロートはボソッと呟きました。
「使い魔って何?」
ミサトさんが質問してきました。
「ヴァンパイアの血を動物に飲ませて契約の儀式をすると、その動物を使い魔にすることができるのよ」
「へ〜」
「猫の使い魔は、化け猫とも呼ばれているわ」
「そうなんだ。使い魔ってパシリみたいなイメージがあるけれど、実際はどうなの?」
「パシリだなんて、とんでもない。動物はヴァンパイアの使い魔になる事で、そのヴァンパイア と同じくらいの知識や知能を持つことができるのよ」
「そうなんだ。でも、命令には絶対服従なんでしょ?」
「そんな事はないけど、ほぼ例外なく使い魔は積極的にヴァンパイア の機嫌をとるわね。
命令に自ら背く使い魔なんて、聞いたことすら無いわ。
契約によって結ばれたヴァンパイアと使い魔は対等だから、
どちらか一方が契約破棄を宣言すれば、契約は無効になるの。
でもその場合、使い魔は何の記憶もなくなり元の普通の動物に戻ってしまうのよ」
🇺🇦
「へ〜。それは戻りたくないわね」
「でしょ?そう思うから、使い魔は喜んで契約したヴァンパイアの役に立とうとするのよ」
「そうなんだ。でもそれって対等じゃないよね?
『契約したヴァンパイアと使い魔は対等』ってどう考えても対等じゃない気が……」
「痛い‼️」
そこまで話したとき、急に首筋に激痛が走りました。
「しまった❗️話に夢中になり過ぎて不注意だった。いつのまにか化け猫に結界を解かれて、首筋に噛みつかれた」
ロートは首筋に噛みついた化け猫を引き剥がすため、意識を集中させ魔法を発動させました。
ロートは化け猫の魔法を無効化する魔法を発動したのですが、相手の化け猫の方が魔力が高いのか、パワー負けしてしまい、そのまま気を失ってしまいました。
↑ロートとミサトさんが大好きなお茶🍵❤️