ロートの配信(10)
※引き継ぎ、語り手はロートです。
ふと目を覚ますと、私は牢屋のなかにいました。
ロープで身体を縛られています。
私の隣には、二十代後半くらいの女性も、私と同じように縛られていました。
この女性が、のちにロート暮らすことなる、ミサトさんです。
もちろん、このときはお互いに面識はありませんでした。
女性はまだ気を失っているのか、目を閉じていて反応はありませんでしたが、呼吸は普通でした。
牢屋の前には、15歳くらいの少年がいました。
緑色の髪に、赤い眼球。
匂いから察するにヴァンパイアですが、あまり強い魔力は感じませんでした。
「おはよう、噂のロート!」
やや訛りのあるヴァンパイア語で、少年が馴れ馴れしく話しかけてきました。
「おはようって何よ!?人を誘拐して監禁しておいて…」
「誘拐したのは、ぼくじゃないよ。ぼくはただ、見張りを頼まれただけで…」
「じゃあ、私たちを解放してよ!見張りだって充分、共犯者じゃない」
「それは出来ない。そんな事をしたら、ぼくが殺されるんだ」
「ああ、なるほど、そういう事なのね」
おそらく、この少年は犯罪組織の奴隷か下っ端なのでしょう。
あまり頭は良くなさそうですが、根っからの悪人というわけでは無いのかもしれません。
なので、ロートを誘拐した犯罪組織について、情報を聞き出そうと思いました。
「ちなみに、どういう理由や目的で、私と隣にいる女性を誘拐したのかしら?」
「それは、言わないように命令されています」
「そう。じゃあ、犯罪組織の名前を教えてくれるかしら?」
「それも、言わないように命令されています」
「密林の騎士団!!」
ロートは、当てずっぽうに犯罪組織の名前を言ってみました。
その瞬間、少年の顔に、焦りと恐怖が現れました。
ビンゴ!!
ロートは心のなかで、そう思いました。
「なんで!?そんな急に…」
『密林の騎士団』というのは、ヴァンパイア連邦共和国のイカロ地方で、一番大きな犯罪組織です。
少年のヴァンパイア語が、イカロ地方に特有の訛りだったので、ひょっとしたらと思い口に出したところ、正解だったようです。
「密林の騎士団って、最近、ドラネさんに目をつけられて、お得意先の麻薬農家を空爆されたみたいね。
ひょっとして、私を人質にして、ドラネさんに空爆をやめるように脅すつもりかしら?」
少年はきょとんとしていました。
誘拐の目的は、別の理由かもしれません。
「それとも、ロートは王族でありながら魔力が低いという、世界に類を見ない珍しいヴァンパイア だから、研究対象として違法な科学者にでも売り飛ばすつもりかしら?」
少年は、真っ青になりました。
どうやら、こちらが真の動機だったようです。
そのとき、部屋のドアが空いて、牢屋の前に2人の男性は現れました。
1人は、白衣を着た中年の男性で、もう1人は二十代くらいのマッチョな男性でした。
「人体実験用の材料の状態を確認させてもらう。なるほど、特に悪くないな。で、いくら出せば買える?」
「1億CC!!」
マッチョな男性が、ぶっ飛んだ金額を要求しました。
CCとは、ヴァンパイア連邦共和国の通貨単位です。
1億CCといえば、現在の日本でいう、約1億円に相当します。
「バカ!!そんな金はない」
2人はしばらく値段交渉をしていました。
「最低でも、5000万CCは欲しいところだな」
「バカ!わしが、そんな金を出せるとでも?」
「お前の全財産って、ひょっとして100万CCも無いのか?」
「100万CCなら、ギリギリ支払える限界だな」
「100万CCなら、こんな貴重な商品は渡せない。だが、実験1回ごとに、100万CC必ず支払うというなら、考えなくもないな」
「では、100万CC払えば、こいつに開発中の新薬を試してみて良いのか?副作用で何が起こるか分からんが」
「まあ、妥当なところだな」
「じゃあ!!」
そう言って、白衣を着た男性は札束をポケットから差し出しました。
マッチョな男性は受け取り、全部で100万CCある事を確認しました。
「金は支払った。それでは、今から実験をはじめる」
白衣を着た男性は、ポケットから注射器を取り出し、ロートに近づきました。
(つづく)
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ロートの配信(8)
こんにちは。
ヴァンパイア系Vライバー、ロート・ハールです。
語り手がミサトさんからロートに移ります。
えっと、このとき、まだロートは大人の姿でした。
こんな感じでしたね。
のちに、黒魔術をかけられたことが原因で、永遠の12歳になっちゃうんですけどね。
☆
ミサトさんが、『会場』こと、家から190メートルほど離れたビジネスホテルに向かって歩いている頃、ロートは、その『会場』というホテルの一室で、乙女ゲームをしていました。
はい、乙女ゲームをしていました。
別にこれは、ロートの趣味とかじゃなくて、ドラネさんにヤレって言われたんです💦
……あっ、あの……ロートが好きでやってるんじゃなくて……ドラネさんからの命令ですから💦
完全に、ドラネさんの趣味です❗️❗️
繰り返しますがロートの趣味ではありません❗️❗️←(ものすごく力説)
諸事情により、ドラネさんに匿ってもらっていたロートは、
これから人間界の日本という国で暮らすのであれば、
スキマ時間に楽しみながら日本の文化を学びたいといった相談をしたところ、乙女ゲームを勧められました。
不可抗力だっただけで、ロートの趣味ではありません❗️❗️
ロートの趣味ではありません❗️❗️(←めちゃくちゃ力説)
まあ、ロートはヴァンパイアなんで、日本語を覚えるだけなら、日本語を話す人の血を飲めば、1か月もしないうちに覚えられるんですけど……。
ドラネさんの言うには、
第一印象が大事らしいので、初めて契約者ができたときに向けて、挨拶とイケメンに口説かれ慣れる事は、必須らしいです。
完全に不可抗力だっただけです。
ロートは、イケメンに口説かれたいとか、全く思ってませんから❗️❗️(←めちゃくちゃ力説)
本当に、全く、思ってません❗️❗️(←めちゃくちゃ力説)
ちなみに、契約者っていうのは、ロートを匿ってくれて、毎日血を吸わせてくれて、なおかつヴァンパイア連邦共和国からの指令に従ってくれる人です。
もちろん、対価は支払うつもりです❗️
対価っていっても、ヴァンパイア連邦共和国について詳しく知れるっていう、それだけなんですけど……。
その対価に、価値を認めてくれる……イケメ……
イケメンは求めてなくて❗️❗️(←めちゃくちゃ力説)
イケメンは求めてなくて❗️❗️(←めちゃくちゃ力説)
優しい人を探しています。
もちろん、そういう、恋愛とかは期待してないので……本当に期待してないので、、本当に期待してないので
年齢と性別はこだわらない、と……ちゃんと宣言しましたよ❗️
それでまあ、ゲームのなかで不本意ながら、イケメンに口説かれながら、日本語を少しずつ学んでいるところでした。
本当に不本意なんですよ💦
☆
そして、ちょうど夕方7時くらいなんですけど、ホテルに訪問者が現れました。
コンコンコン。
ドアをノックする音。
「あの…すいません。『会場』はここでよろしかったでしょうか?」
念のため、鍵穴からも除いて見ましたが、完全に女性でした。
なんだ、イケメンじゃないんだ……なんてガッカリしたりは、ロートはしませんでした❗️
最近から、そんな期待はしていません❗️❗️(←めちゃくちゃ力説)
「おお、なんて美しい女性だ。入りたまえ。もちろん、『会場』はここさ」
ロートは、日本語がまだ片言なので、ゲームのなかのイケメンのセリフを、そのまま真似ました。
意味はよく分かっていません。
そしたら、どういうわけか、女性は笑い出しました。
きっとロートの日本語が上手かったので、ほめているのだと、そのときは思いました。
「あの、ドラネ・バタ・シャボリという方の配信を見まして……」
ロートはかろうじて、ドラネ・バタ・シャボリという名前を聞き取りました。
(ちょっとこの人、頭、大丈夫かなぁ?深夜0時集合なのに、まだ夕方7時だよ〜)
ロートは、ドラネさんの代理で、留守番をしていました。
ドラネさんには、ドラネの部下と名乗るように言われていたので、ゲームで覚えた単語を日本語文法に当てはめ、こう言いました。
「拙者は、ドラネの部下でござる。ドラネ殿は、ただいま外出中でござる。
ドラネ殿の言いつけにより、深夜0時まで、この扉を開ける事はできぬ。拙者でよければ、話を聞くことはできるでござるが」
そしたら、また女性は笑い出しました。
やっぱり、このゲームで日本語を学ぶのは良いと、そのときのロートは思いました。
「面白い方なんですね、ドラネさんの部下って。コメディアンみたいです」
コメディアン・ミタイデスっていう単語は、どういう意味か分からなかったので、きっと社長とか弁護士みたいな…立派な肩書きの一種だろうと想像していました。
なので、こう答えました。
「大丈夫だ、安心しろ!!俺は、一流のコメディアン。コメディアン国家試験に合格した、一流の医師にて社長だ」
自分がどれだけオカシイ事を言っているか、そのときは知りませんでした。
「せっかち過ぎて早く来すぎちゃいました。一度戻り、深夜にまた来ます!」
そう言って、女性は去っていきました。
よく分からなくて、そのときは、うまく日本語が使えたと思っていました。
ロート・ハールの配信(9)
※語り手は再びロートです。
こんばんは。
ヴァンパイア系Vライバー、ロート・ハールです。
ホテルの一室にて、ロートが1人で乙女ゲームをしていると、玄関のドアをノックする音がしました。
鍵穴から覗いてみると、ホテルのスタッフらしきスーツを着た男性が、何やらキャリーバッグのようなものを持って立っていました。
「失礼します。白神 亜華美(しらかみ・あかみ)様はいらっしゃいますでしょうか?」
白神 亜華美(しらかみ・あかみ)とは、ドラネさんがこのホテルの一室を借りるときに使った名前です。
さすがに『ドラネ・バタ・シャボリ。異世界から来ました』と、本当の事を言うわけにはいかないですし、本当の事を言ったところで、ふざけていると思われて部屋を借りれないかもしれません。
「失礼します。白神 亜華美 様は、いらっしゃいますでしょうか?」
もう一度、ホテルのスタッフらしき男性が尋ねてきましたが、ロートは黙り込む事にしました。
ドラネさんに、『私が帰って来るまで、何があってもドアを開けるな。居留守を使え』と指示されていたからです。
「居留守を使うように指示されているようだな。ロート・ハール!私はお前たちの正体を知っているぞ」
ホテルのスタッフが、突然、人が変わったように声をあらげました。
「やっぱり、偽物のスタッフなのね。ドラネさんから聞いているわ。
敵がホテルのスタッフに変装したり、ときには警察官にまで変装したりして、ロートを殺そうとする事があるって。
何があっても、絶対にドアを開ける事はありません!!」
「騙し討ちは難しいようだな。ならば、力づくで連れ去るのみ!!」
男性がそう言った瞬間、ドアが破裂し、ロートは吹き飛ばされました。
ホテルの壁に叩きつけられたロートは、そのまま気を失ってしまいました。
(つづく)
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ロート・ハールの配信(7)
※引き続き、語り手はミサトさんです。
「はぁ……」
履歴書を書き、落ちるであろう面接を受けるという、いつものルーティンを終わらせた私は、帰宅後すぐにアプリを開きました。
もちろん、『ヴァンパイア連邦共和国 公式アプリ 血の光』です。
ほかに何を開くっていうんでしょう?
アプリを開くと、『一番のオススメ動画』が表示されたので、それをクリックして視聴することとしました。
昨日と同じ、白い髪と赤い眼球が印象的な、ドラネ・バタ・シャボリが画面に表示されました。
「人間の皆さん、こんにちは。私は、ドラネ・バタ・シャボリ。異世界出身のヴァンパイアです」
(まさかヴァンパイアだなんて、さすがにフィクションだとは思うけど、面白いから続きを見てみようと)
☆
「これをご覧になっている方に朗報です!
これから、ヴァンパイアや異世界について、動画で1つ1つ説明していくつもりです。
しかし、3名様限定で、直接、会場で説明を受けるチケットをお渡しします。
チケットをもらいたい方は、この動画の最後で住所をお知らせするので、深夜0時までに、そちらの会場にお集まり下さい。
チケットが欲しい方が4名以上いらした場合、『チケット争奪戦』というイベントを行います。
注意!チケットは無条件で与えられるのではなく、簡単なアルバイトに協力することが条件です。
詳しくは会場でお話するので、ちょっとでもご興味のある方は、会場へお越しください。
なお、会場でお話聞いたあとでも、チケット受け取りをキャンセルすることは可能で、無理な勧誘もありません。
それでは、会場の住所をお知らせします」
驚くべきことに、そのあと説明された住所は、私の今いるアパートから、190メートルほどしか離れていない、ビジネスホテルの一室でした。
ロート・ハールの配信(6)
※引き継ぎ語り手はミサトさんです。
『ミサトさん、こんにちは』
そう挨拶してきたのは、黒を基調としたセクシーなコスチュームに身を包んだ、赤い眼球に白いショートヘアの人物でした。
(一体、この人は何者なんだろ?)
『ミサトさん。もしかして、マイクがミュートになってませんか?』
「マイクがミュートですか!?これって通話なんですね!?動画だと思ってました」
『動画だったけど、私が魔法で通話にしちゃったの。ただの規約違反だから、気にしないで』
「規約違反…。大丈夫なんでしょうか?」
『まあ、罪に問われるのは私だけよ。ミサトさんは気にしないで。警察沙汰になったところで、警察官に記憶改竄魔法をかければ良いし。
私はドラネ・バタ・シャボリ。国で一番の魔法使い!』
この人はアウトローかもしれないと思いましたが、言わない事にしました。
「あの、魔法っていうのは…もちろん冗談ですよね?」
『えっ!?本気だけど』
「……あっ、……そうなんですね」
私は、この人との通話は終わらせた方が良いと思いました。
ファンタジーの世界には魔法が必須ですが、現実世界では妄想でしかないからです。
☆
『ひょっとして、生贄神官の名刺から直で来ちゃった感じ?』
「あっ、そうです。生贄神官のQRコードを読み取って来ました」
『じゃあ、魔法の事も、ヴァンパイア の事も全く知らないわね』
そう言うと、ドラネという女性は、ふわふわと空中浮遊を始めました。
そして身体を丸めて、空中でクルクルと回転し続けています。
『ほら!これで、魔法が存在するって分かったかしら?』
私は半信半疑でした。
小さい頃から一貫して、ファンタジーの漫画や小説には親しんできたのですが、さすがにもう大人です。
少なくとも物理法則を完全に無視したような魔法は、存在しないと知っています。
なのでこの映像も何かのトリックだと思うのですが……。
やはり相変わらず魔法が好きなので、信じてしまいたいという気持ちもあります。
『やっぱり映像だけじゃ信じてもらえないみたいね。
そういえば、ミサトさん……そろそろ就寝時刻だけど、まだ夕食も食べてないよね?
明日から、摩訶不思議な出来事の連続になるから、今日は長めに寝ることをオススメするね』
それだけ言うと、ドラネという女性は、いきなり通話を切りました。
失礼だなと思っていると、どういうわけか床に文字が浮かび上がってきました。
『通話、いきなり切っちゃってごめんね。今から士官学校の軍事演習に教官として参加してくる。明日はもっとビックリする事があるよ』
「………」
私が読み終わった瞬間、その文字は次第に薄くなって消えていきました。
結局、その日は、信じられないような摩訶不思議な出来事が忘れられず、あまり眠ることは出来ませんでした。
ロート・ハールの配信(5)
※引き継ぎ語り手はミサトです。
『こんばんは。人間のミサトさん』
そう話すのは、写真にあるような、甲冑(かっちゅう)とローブと服で完全に身を隠した人物でした。
『なぜ私がミサトさんの名前を知っているのかと、疑問に思われた事でしょう』
(ヤバイ!!ひょっとしたら、私の心読まれてるかも!?)
そう思った瞬間、こう言われてしまいました。
『はい、もちろん。私は人の心が読めるのです。私は人に非常に近い存在ですが、正確には人ではありませんから』
(いったい何者!?人に近いけど違うって!?チンパンジーには見えないけど…)
私は恐怖のあまり、絶句してしまいました。
ですが、怖がる必要はありません。
私は人の姿を見れば、その人の本質が分かるので、ミサトさんが決して悪い人ではないと知っていますから。頭は少々悪いですけどね』
(最後の一言が余計なんだよ…)
(ちょっと待って。人の姿を見れば…ってことは、今の私の姿、見られてる!?
すっぴんにルームウェアで、髪もとかしてないんだけど!?)
『私は生贄神官として、いろいろな人のルームウェアを見てきましたが、あなたはまだマシな方です。
なかには、部屋ではいつもパンツ1枚だとか、全裸の方もいらしたので』
(生贄神官って一体何!?人のルームウェアをのぞくことの、どこが神官なんだろう)
『私も好きでのぞいてるわけじゃないんです。私の魔法は借り物なので、性質上、どうしてもそうなるんです』
(……えっ……えっ……。どういうこと!?)
私は生贄神官が何を言っているのか、全く理解できませんでした。
『とりあえず、動画がたくさん用意されています。1つずつ視聴していただけると助かります。
動画を見た時間や回数に応じて、Vポイントが貯まります。
私の正体なども、貯まったVポイントに応じて少しずつ明かしていくつもりです。
それではまた』
そこで動画が終わり、スマホの画面上に別の動画が3種類ほどうつりました。
【こんにちは。ミサトさん。ガイドのドリカです】
スマホから小さい女の子の声が聞こえてきました。
【今、表示されている3つの動画のうち、一番最初に見たいものをクリックして下さい】
私は、適当に真ん中の動画をクリックしてみました。
動画の再生が始まり、白いショートヘアに赤い眼球の女性が現れました。
ロート・ハールの配信(4)
※こんにちは。
今回、お話しするのは『ヴァンパイア☆ミサト』という芸名(?)で活動している、人間界の人間、ピ〜〜〜ミサトです」
「今、配信しているのはロート・ハールではありません」
「芸名『ヴァンパイア☆ミサト』こと、、、ピ〜〜〜ミサトです」
「ちょっと待って!配信で上の名前まで言えないからって、ピ〜〜〜ミサトって。まるで名前自体が18禁みたいじゃないですか!?」
「自ら名乗っておいて…なんですけど、ロートに呼ばれてるとおり『ミサトさん』または芸名の『ヴァンパイア☆ミサト』で通して下さい」
「一部の人が悪質なデマを流しています。Vライバー、ロート・ハールは架空の人物で、ヴァンパイア☆ミサトが演じているだけだと…」
「まあ、声が瓜二つなので、このような誤解が生じるのも無理はありません」
「えっと、今日はロートと私が知り合ったきっかけなどについて、詳しくお話していこうと思います」
「その前に、どうしてロートの声と私の声は、こんなにも似ているのでしょうか?その説明をしていこうと思います」
「ヴァンパイアは人間の言語を覚えるとき、わざわざ勉強する必要はないんです。
たとえば日本語を覚えたいときは、日本語のネイティブスピーカーの人間の血を1週間から1ヶ月、毎日つづけて飲めば、全く勉強をしなくても問題なく日本語を使えるようになります」
「ロートも、初めて会ったときは全く日本語が話せなくて、事前に用意したイラスト付きのカードを出し合う事で、何とかコミュニケーションを取り合っていました」
「今日は、そんなロートとの出会いを時系列にそって解説していこうと思います」
「あれは、2020年11月1日、日曜日のことでした」
「当時、就職活動について本気で悩んでいた私は、札幌市内のとある占い師のもとを訪れていました」
「占い師の名前や会った場所については、秘密にする約束なのでお伝えできません。ネット検索で知った占い師です」
「占いの結果は、ひと声で言えば悪かったです。就職は根本的に無理だと言われました」
「家に帰ったら、受け取った覚えのない謎の名刺がカバンの中に入っていました。『生贄神官』という名前のみが書かれていて、あとはQ Rコードのみでした」
「『生贄神官(いけにえ・しんかん)』という名前は、そのとき本当に初耳で、占ってくれた占い師の名前とも全く無関係でした」
「普通の人だったら、こんな怪しいQRコードをわざわざ読み取ったりは絶対にしないでしょう」
「でも、私は読みとってしまいました。好奇心を抑えられなかったのです」
「Q Rコードを読みとると、『ヴァンパイア連邦共和国 公式アプリ 血の光』をダウンロードしますか?、という文章と、『はい』と『いいえ』のボタンが、スマホの画面に現れました」
「迷わず『はい』を押すと、アプリがダウンロードされ、動画の再生が始まりました」
↑イチナナで定期的にライブ配信しています。スケジュールはプロフィール欄で確認できます。
↑ストーリーとは全く関係ありませんが、ロートとミサトさんが大好きな漫画雑誌です。